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by hajime_kuri

ゾンビ映画の佳作2本を観た



先日、DVDで「ゾンビ映画」の二本立てを楽しんだ(自宅で)。
作品は、ジョージ・A・ロメロ監督の「サバイバル・オブ・ザ・デッド」とルーベン・フライシャー監督の「ゾンビ・ランド」である。



片や、ゾンビ映画の本家本元のロメロ、もう一つは、この作品がほぼデビュー作らしいフライシャー監督。奇しくも直球と変化球の二本立てとなった。

まず、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」。
ゾンビ映画というのは、世界中をゾンビが徘徊していて、下手すれば食われちゃうよという「ゾンビ状況」を背景にして、どのような人間ドラマを盛り込むかで、作品の良否がきまるというシビアなジャンルである。
ロメロ監督、今回は、異なる価値観のぶつかりあいとそれに伴う人間同士の憎しみに主眼を置いている。相変わらず、ロメロ監督の作品では、ゾンビは毛ほども怖くない。怖いのは、憎しみや猜疑心と言う妄執にとらわれたむしろ人間の方である。
今回の作品で、おお、と、感じたのは、そのイメージの詩的な美しさ。
ゾンビは生前の習慣をなぞるように行動する。いわば生者のカリカチュアライズとしての存在だが、そのゾンビとしてさまよう女性の中で、生前と同じ姿で、馬に乗って舞台となる島を駆け続けている死体が出てくるのである。髪をなびかせて、生きている馬の背中にまたがったまま、ギャロップで島内をかけ続けている美しい死体。なんという皮肉なポエジーであろうか。
俺は、このイメージだけで、この作品を評価したい。
さらにラストシーンの美しい皮肉は特筆ものだ。死をも超越した生者の憎しみ、これこそがこの作品のテーマであろう。まさに、ゾンビ映画本流の本家ロメロの作品である。



さて、一方、もう一つの作品「ゾンビ・ランド」はどうであろうか。
これは、同じような「ゾンビ状況」を背景に、ハリウッド映画おなじみのロードムービーを持ってきた異色コメディーである。
ボンクラな童貞青年、マッチョなカウボーイ、詐欺師の姉妹、この4人が、お互いに騙したり出し抜いたりしながら、ゾンビ状況下の崩壊したアメリカ大陸を旅する話である。
旅を続けながら、不信感を抱いていた4人が、徐々に疑似家族となっていく。まさにハリウッド王道のロードムービーである。しかも、キャラクターの一人は、ロードムービー「リトル・ミス・サンシャイン」で大人を食う演技を見せていた、アビゲイル・ブレスリンだから念が入っている。
この二作品で感じたのは、ゾンビ映画の核は、状況を背景に描かれる「人間ドラマ」の質が作品を左右するということ。その意味で、この二作品は、直球と変化球の差はあれど、どちらも力作である。
立て続けに2本見た俺が、十分に楽しめたからである。

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by hajime_kuri | 2011-02-12 00:15 | 映画 | Comments(0)