痛い
2004年 10月 23日
先日、名古屋大須商店街のアニメ系フィギュアショップ(時たま出入りしてしまうんだな、このオヤジ=俺)で漏れ聞こえてきた会話に当惑してしまったという話。
その内容をかいつまむと、以下のようになる。
その若者は宮崎駿監督のファンである。近日公開予定の「スカイキャプテン」のビジュアルデザインに関して、「天空の城ラピュタ」に言及し、「スチームボーイ」を引き合いにしながら、そういった20世紀初頭の架空歴史SFのルーツは宮崎駿だと断言し、宮崎すごいと絶賛している。
聞いていて、すごく痛かったな。
彼は「アニメだけ」には詳しいという典型的なオタクなのである。
少しでもSFや文学に興味があれば、「スチームパンク」という言葉を耳にしたことがあるはずだ。
これはSFのジャンルのひとつで、80年代のサイバーパンク・ブームへの反発から、ある作家たちが「じゃあ、逆に古い時代を舞台にして、キャラは類型的でも面白い物語を作ろう」というムーブメントを起こしたのがはじまりで、十九世紀末ごろのヨーロッパを舞台に、蒸気や歯車で無理矢理SF的しかけ(コンピュータやらロボットやら=ガジェット)を表現しているのが特徴か。
「ニューロマンサー」で一躍サイバーパンクの立役者になったウィリアム・ギブソンが、追従者の亜流作品を尻目に、「お前らまだそんなことやっているのかよ」とばかりに「ディファレンス・エンジン」でスチームパンクの発信者になったのはある種痛快だった記憶がある。
キーとなるテクノロジーがサイバー(コンピュータおよびコンピュータネットワーク)ではなく、スチーム(蒸気機関)になっているのが作品の特徴だ。
ということで、宮崎駿の「天空の城ラピュタ」もその世界的なスチームパンクムーブメントの一つに過ぎないわけなのだ。
ちなみに「スカイキャプテン」のビジュアルは、ボクとかフィンレイなどのパルプマガジンのころのSFアートが源流になっている。つまり宮崎駿の「ラピュタ」も源流はパルプマガジンのころのSFアートで、むしろそれに対するオマージュになっているというのが正解だろう。
一つの分野に「だけ」特化した知識というのは、「痛い」というのを実感し、改めて、幅広い知識は必要だな思ったわけである。
※ちなみに大友克洋の「スチームボーイ」好きですよ、俺。特にスカーレットお嬢様。ああいう小生意気な娘が好きですな。
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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)
1988 獣の歌/他1編・栗林元
神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元
盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
その内容をかいつまむと、以下のようになる。
その若者は宮崎駿監督のファンである。近日公開予定の「スカイキャプテン」のビジュアルデザインに関して、「天空の城ラピュタ」に言及し、「スチームボーイ」を引き合いにしながら、そういった20世紀初頭の架空歴史SFのルーツは宮崎駿だと断言し、宮崎すごいと絶賛している。
聞いていて、すごく痛かったな。
彼は「アニメだけ」には詳しいという典型的なオタクなのである。
少しでもSFや文学に興味があれば、「スチームパンク」という言葉を耳にしたことがあるはずだ。
これはSFのジャンルのひとつで、80年代のサイバーパンク・ブームへの反発から、ある作家たちが「じゃあ、逆に古い時代を舞台にして、キャラは類型的でも面白い物語を作ろう」というムーブメントを起こしたのがはじまりで、十九世紀末ごろのヨーロッパを舞台に、蒸気や歯車で無理矢理SF的しかけ(コンピュータやらロボットやら=ガジェット)を表現しているのが特徴か。
「ニューロマンサー」で一躍サイバーパンクの立役者になったウィリアム・ギブソンが、追従者の亜流作品を尻目に、「お前らまだそんなことやっているのかよ」とばかりに「ディファレンス・エンジン」でスチームパンクの発信者になったのはある種痛快だった記憶がある。
キーとなるテクノロジーがサイバー(コンピュータおよびコンピュータネットワーク)ではなく、スチーム(蒸気機関)になっているのが作品の特徴だ。
ということで、宮崎駿の「天空の城ラピュタ」もその世界的なスチームパンクムーブメントの一つに過ぎないわけなのだ。
ちなみに「スカイキャプテン」のビジュアルは、ボクとかフィンレイなどのパルプマガジンのころのSFアートが源流になっている。つまり宮崎駿の「ラピュタ」も源流はパルプマガジンのころのSFアートで、むしろそれに対するオマージュになっているというのが正解だろう。
一つの分野に「だけ」特化した知識というのは、「痛い」というのを実感し、改めて、幅広い知識は必要だな思ったわけである。
※ちなみに大友克洋の「スチームボーイ」好きですよ、俺。特にスカーレットお嬢様。ああいう小生意気な娘が好きですな。
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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)
1988 獣の歌/他1編・栗林元
神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元
盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
by hajime_kuri
| 2004-10-23 07:48
| 映画