「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

「あの歌がきこえる」重松清


意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互いの道を歩き始めた卒業の日にも、三人の胸にはいつも、同じメロディーが響いていた。サザン、RC、かぐや姫、ジョン・レノン……色あせない名曲たちに託し、カッコ悪くも懐かしい日々を描く青春小説(アマゾンより)。

中学から高校までの時代を舞台に描いた青春小説で、俺的には登場人物より3歳ほど年上になる。流行歌を下敷きに描かれる小説は、決して珍しいものではない。むしろ陳腐かもしれない。でも重松清だ。読みごたえのある作品になっている。
友達との友情と同時に、故郷と親を捨てて大人に踏み出す物語でもある。そこが、個人的に胸に迫るのだ。
実は、俺もこの小説の登場人物と同じように、愛知県という地方都市の、その閉ざされた世界ではトップクラスと言われた県立高校に間違って合格してしまった少年だった。身につまされるんだよね。紆余曲折の果て、現在ブルーカラーの仕事をしている俺は、世間的には負け組なんだろうな。でも作者のまなざしは、そういうものにも温かい。俺が重松清の作品にひかれるのはそんためなのかも。
あの頃、親に対して感じていたさまざまな思いがよみがえった。そんな少年(俺)が、今は人の親なのである。

あの歌がきこえる (新潮文庫 し 43-14)
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by hajime_kuri | 2013-05-18 21:51 | 純文学 | Comments(0)