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by hajime_kuri

小説を書く動機

 小説作品を書く動機はどこからくるのだろうか。
 世の中の作家がすべてそうだとは思わないが、私の場合は次の三点が動機である。

1、今までにない、面白いストーリーを思いついた
2、世間や人に言いたい「意見」や「考え」がある、訴えたいことがある
3、こんな光景やシーンを描写したい、言葉で伝えたいイメージがある

 この三つが渾然一体となって、執筆意欲になるわけである。
 具体的には、2と3は、日常生活の中で、いつも念頭にあることで、思いつくたびに頭の中にストックしていき、1の面白いストーリーを思いついた時に、そのストーリーを補強するために、2と3が動員されるのである。これは、私がエンタメ系の書き手であるせいもあろう。

 具体的に私の場合の例を挙げてみよう。
 以前、「神様の立候補」という衆議院選挙をネタにした小説を書いたことがある。きっかけは、広告会社の営業として、さる泡沫候補の選挙広告を扱った体験をしたことだ。その候補者先生は、神様のお告げで立候補をされたという方で、その方の政見放送の収録などにも立ち会った。通常の人なら決して体験できないことを体験できて、「これは小説にできる」と思ったのがきっかけである。
 さらに、その一風変わった候補が、小さくひ弱な老婦人で、そのおばあさんの広告扱いを獲得するために、大新聞社や広告会社の社員が右往左往するという滑稽さがストーリーの核なので、「高齢者問題」、「宗教と政治」、「選挙とマスコミ」などいつも自分で感じていたことを盛り込んだ。
 実際に社会で問題になっていることに対する視点を描くだけで、ストーリーにぐっと現実味が出て、さらに深みも増すのである。これをやらないと「単なるお笑い」で終わってしまい、読者の心に何かを残すことができない。
 この作品の舞台になった選挙は、ちょうどオウム真理教が教祖・松本を擁立した選挙で、社会的にも「宗教と政治」「若者と宗教」がクローズアップされた時期であった。今なら、別のアプローチもできたかもな、と思っている。

※「単なるお笑い」と書いたが、これは「単なるお笑い」をバカにしたわけではない。「単なるお笑い」は、これはこれで、深い覚悟がなければ書けない世界で、これほど難しいものもないからである。「笑い」に関しては、また、別の機会に書いてみたい。


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作者は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編

神様の立候補/ヒーローで行こう!

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編
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by hajime_kuri | 2014-07-13 00:08 | 小説指南 | Comments(0)