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by hajime_kuri

物語には「緩急」が必要

 ここ数日、二人の生徒さんのレッスンで同じ指摘をした。

 まず一人目。活劇シーンに入ってから、駆け足で物語が続くのだが、大量に人が死んでいき、読者の心に「また死ぬの?」といった「慣れ」が生じてしまう。
 書き手の心理としては、手を緩めては読者がつまらなく感じないだろうか?アクションをたたみかけたい、という気持ちかと思う。

 次の生徒さんは、物語の第二章に入り、第一章で登場した人物たちの背負った「業」が少しずつ、キャラクター達や読者に共有されていく話を描写の中で語っていく章である。
 静かな章で、書いていて、読者はつまらなくないだろうかと書き手として不安になった、と言うことなのだ。

 お二人とも書き慣れていないからこそ起きる不安である。
 物語には「緩急」が必要なのだ。跳躍するためには、まずかがまねばならない。
 最初の生徒さんは不安から「急」だけになり、二人目の生徒さんは「緩」を書いていることに不安になったわけだ。

 「緩」のシーンは、物語の中では次のドラマティックな展開に必ず必要な展開である。二人目の生徒さんは、準備稿の段階で「緩」の章にあった暴力シーンを削ってきた。これは、とってつけたようなシーンだったので、もし残っていたら私が指摘しようかなと思っていたのだが、ご自身で「必要ないシーンとしか思えなくなった」と削ってきたのだ。
 よくぞ気づいた、生徒君。

 実際に小説を書いていくと、この語りの「緩急」がわかってくる。
 物語は、読者を「誘い、じらし、満足させる」の繰り返しで転がしていく。
 「緩急」の「緩」とは、まさにこの「じらし」に他ならない。この「じらし」の間に、より「サプライズ」させるための仕掛けをしたりするわけだ。

 ただ、読者を「じらす」ように書いている時は、作者もやっぱりじれている。早く次を書きたくて仕方ないわけである。


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by hajime_kuri | 2015-07-11 23:01 | 小説指南 | Comments(0)