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by hajime_kuri

違和感は上達の証

 小説を書き始めてしばらく立つと、自分の書いた文章を読み返して違和感を感じて筆が止まったり、首を傾げて考え込んだりすることが起きる。
 そんな違和感の一例を生徒さんの文章から見てみよう。
(例文)
 今の僕は、何も言えずに口を少し開けながら、ただただ何かを訴えるような目や表情で奥村を見つめていた。
 この文章から感じる違和感の原因は、語り手の「僕」が自分の様子をよく観察したように描いていること。つまり、「僕」という一人称で、三人称の描写をしていることが原因である。
 これが「僕」ではなく「伊藤」であれば違和感は皆無になる。
 どうしてもこのように描写がしたければ、壁に掛かった鏡に映った自分の様子をみて「僕」が「僕」を観る形にするしかない。
 何とか無理矢理リライトするとこうなる。
 今の僕は、何も言えずに奥村を見つめることしかできなかった。口を少し開けながら、ただただ何かを訴えるような目や表情で見つめられて奥村はどう思ったであろうか。
 自分を観たかのように想像して思ったことを書いたわけである。
 自分の書いた文章に違和感を感じたときは、レベルのステージを一つあがったと思ってよい。
 何かをつかんだことを「意識化」するチャンスなので、じっくり考えてほしい。

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
小説指南・栗林元
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by hajime_kuri | 2017-04-08 15:56 | 小説指南 | Comments(0)