「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

「七百年の薔薇(上・下)」(ルイス・ガネット)文庫 NV (921)

a0003784_12273.jpg「アイリッシュ・ヴァンパイア」を紹介したついでにもう一つ吸血鬼譚。
少し古いけど90年代の作品。
舞台は現代のアメリカ西海岸。主人公は長い歴史を持つスプーア一族の長子である。両親の離婚後、会ったこともない父から遺産相続のため、三ヶ月、所有する城で暮らすべしという手紙がくるところが物語の発端である。
物語は登場人物の手紙・日記・宿題などの書簡のみで構成されている。それ自体は別に珍しくもないが、登場人物たちの「同性愛的」な問題などが鍵になっていて「その気」のない小生も少し「どきどき」してしまった。セピア色の薔薇の力で過去を幻視しする謎の父親、その目的は本当に遺産を相続させるためだけなのか?
「薔薇の力」、「不死」、「少年」とくるとこれは往年の名作「ポーの一族」じゃんというあなた、鋭いよ。でも萩尾望都さんの方が古いから、ひょっとしてインスパイアされたのはルイス・ガネットか。むしろ両作品に共通の発想のもととなった、西欧のオカルティックな知識に、当時の萩尾女史が精通していたというところだろう。ガネットにとってこの「七百年の薔薇」が処女作だというから肉食人種はすごいなあ。
ということで、この作品はモダンホラーの傑作であると同時に甘美な「ボーイズラブ」ものにもなっている(笑)
特に、女性にお勧めしたいホラーである。

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1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

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by hajime_kuri | 2004-05-09 12:27 | ホラー | Comments(0)