「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

井上靖の自伝的三部作



 個人的にはビルドゥングスロマン(教養小説・成長物語)の最高峰だと思っている。
 主人公洪作の湯が島での幼少期が「しろばんば」、沼津での中学時代が「夏草冬濤」、そして柔道に夢中の高校受験浪人中が「北の海」である。





 「しろばんば」は教科書にも載っていたりしておなじみだろうが、高校生の時、なんで「しろばんば」なんだよ、と思ったものだ。中学生や高校生なら絶対に「夏草冬濤」や「北の海」の方が面白いし興味を抱くはずだからだ。






 大事件が起こるわけでもなく、淡々と物語は進行するが、洪作を取り巻く友人達の生き生きとした姿が実に魅力だ。あの頃の学生達って本当にいい。その仲間達の中で、読者はもう一度、青春を体験するのだ。
 私は、この作品群に魅了されて武道がやりたくなり、大学で少林寺拳法部へ入ったぐらい。で、酒飲んで寮歌を歌うようなアナクロな青春を送ってしまったわけだ(笑・1977年だからね)
 作者・井上靖(当然、洪作のモデル)が練習した、第四高等学校(現金沢大学)の武術道場「無声堂」が、愛知県犬山市の明治村に移築保存されている。


 自宅の近くなので、私は時々、そこで旧制高校の青春に思いを馳せてみるのである。

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夏草冬涛 (下)新潮文庫
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Commented by 4-of-hearts at 2004-02-26 22:36
ん〜 ぼく全然”いわゆる名作”という作品を読んだことが...
ない
やっぱり最近出た話題作の方が楽しいですしr(^_^;)
Commented by hajime_kuri at 2004-02-26 23:07
この作品のユーモアはなかなか笑えますよ。
何しろ主人公は、受験の下見に四高へ行って、そこの柔道部で練習しながら1ヶ月も居候してしまうというという脳天気さ。試験に合格して柔道部に入部させたい柔道部の連中が、金を出し合って沼津に帰らせるという爆笑シーンもあります。
井上靖って本当に体育会なんだなあ、と笑えます。
柔道界でも独特の地位を占める寝技に磨きをかけまくった四高柔道(いまは高専柔道って呼ぶのかな)の創世記でもあります。
by hajime_kuri | 2004-02-24 23:41 | 青春 | Comments(2)