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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

「スターシップトゥルーパーズ」と「逆説的表現の通じない人々」について考えた

「スターシップトゥルーパーズ」と「逆説的表現の通じない人々」について考えた_a0003784_02628.jpg 「2」が制作されて、また話題になりそうな「スターシップトゥルーパーズ」だが、アマゾンのレビューを眺めていて、「わかっちゃいねえなあ」とため息が出てきたという話。
 ハインラインのタカ派SFの映画化だが、どうもそのストーリーや表現だけで、これは暴力的なまさにアメリカ的な右派映画ととらえている人が意外に多いのに驚いた。
 本当に俺の予想より多くて驚いた。
 これはアメリカの正義を皮肉った映画である。
 一度も国土を敵に蹂躙されたことのないアメリカ。圧倒的な武力の差に、一人一殺の神風アタックしか手段がない、という経験のないアメリカに、それこそ、絶体絶命の危機になったらアメリカ的な正義なんて言ってられないだろうお前ら、と叫んでいる映画だ。
 プロパガンダで若者をたぶらかして、戦場へ送って、「英雄英雄」とおだて上げて、と普段ならアメリカが「国民を洗脳して戦争へ駆り立てている」とならず者国家を非難するような状況を、極めてアメリカ的な社会に現出させている(笑)、すばらしい皮肉。
 翻って、アメリカに敵対している国の国民は、この映画の登場人物のような状況だということである。
 だいたいオランダ人のバーホーベンが監督なんだから。このくらいのひねりは当然だろう。問題は、この様な単純な「逆説表現」すら通じない人たちが意外にいる、ということだ。
 「暴力礼賛」とか、逆に「若者達の勇気に感動した」とか(ため息)
 普段は温厚で、めったに激した言葉を吐かない俺ですが、これには思わず叫びたくなった。
 「お前ら馬鹿だろう」と。
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1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
by hajime_kuri | 2004-05-30 00:27 | 映画