人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

CASSHERN(キャシャーン)

CASSHERN(キャシャーン)_a0003784_10431271.jpg見ました。
よかったよ。映画というより映像詩だ。でも満足している。
CG使いすぎとか、アクションが少ないとかの文句をつける人たちもいるようだが、特撮オタクでない方なら満足できると思う。※これは特オタの人を馬鹿にしているわけではないので誤解のないよう。かくいう私も特オタの一人ですから(笑)
「これは反戦だ」と、諸手をあげて賛美する方たちも多いですが、それもちょっと違うような気がする。
むしろこの映像の背後に横たわるのは、「和をもって尊し」とする、仏教的な、すごく東アジア的な思想であろう。
生きていくことによって、必ず何かや誰かを傷つける、それが人間の業である。だから、正邪を「裁く」前に、まずお互いを、「許しあう」ところから考えていかないか、ということ。
2004年の現在では、単純な善悪の戦いだと、本当にオトギ話になってしまう。憎しみが憎しみを生む、そんな戦争は中東の歴史を見ればうんざりするほどあるではないか。憎しみの連鎖を絶つ、ということの難しさ。
だが、いくら理想を唱えても、強大な力を背景にして、自分の利益のために、他者を踏みにじるような行為が一向になくならないのもまた事実。それこそが人間の業なのである。
この映画の一番のメッセージは、その業のもつ悲しさを俺たちの前に提示することなのかもしれない。
だからこそ、娯楽映画としてのカタルシスを求めた観客からはブーイングを受けるわけである。
原作アニメとはまったくの別物と考えて評価しよう。ただし、原作の中に潜在していた各種の要素(父と子の確執、とか)は非常に大切に残されている。
当時アニメを見ていた子供たちも、こんなに考える大人になったのである。アニメにとっても原作冥利に尽きるのではないだろうか。
OUR LAST DAY-CASSHERN OFFICIAL ALBUM-公式サントラ版←アマゾンへGo!
CASSHERN(DVD)←アマゾンへGo!

(広告)

作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
by hajime_kuri | 2004-07-04 23:19 | 映画