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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

カテゴリ:戦記( 8 )

永遠の0



本日映画を見てきたので、それも踏まえて考えたことを書こうと思う。
作者の百田氏と俺は昭和30年代生まれの同世代。正確には俺より2歳年上である。
彼がこの作品を書き上げた気持ちが痛いほどわかる。われわれ世代は戦後の教育で、教員や文化人の著作やマスコミの報道などで、太平洋戦争中の日本とそれ以前の日本をかなり否定的に教育されている。たとえば、女性にこそ選挙権は無かったものの、成人男性には選挙権があったにもかかわらず、戦前からずっと言論を弾圧された独裁国家であったかのようなイメージづけ。農村の貧困を、あたかもロシア革命直前の農奴制と同じであるかのようなイメージづけ。
小学6年生ごろから、岩波文庫や岩波新書を読んでいた、ませたガキだった俺は、「だから、革命が必要なんだ」と感じたものである。
「カムイ伝」を読んだ時などはもう、左翼になっちゃいましたよ(苦笑)。
「日本人に生まれて申し訳ありません」という気持ちになった。子供心に「どうして僕は日本人に生まれたのだろう」とまで思った。
多くの若者が、中国・ソ連・北朝鮮を労働者が主役の地上天国だ、と信じていた時代である。
ただ、内ゲバ事件などで、左翼学生の行動もベクトルの向きが違うだけで、その動機や行動は右翼と同じだと感じ始めてから、自分で歴史の本を読んで、どうもこれは、今まで聞いてきたことと違うじゃないかと気づき始めた。
「大空のサムライ」をはじめとする戦記。ジョン・トーランドの「大日本帝国の興亡」をはじめとする歴史書など。
最初の驚きは、旧日本軍の兵士は、学徒出身者だけでなく下士官クラスの人間も、体験を著述にできるほどのインテリであったということ。貧しくて進学ができない優秀な人材が、その向学心を満たすために軍隊の幼年学校に進むわけで、アメリカ軍が日本兵の大半が毎日日記をつけていたことに驚いたほどである(彼らは、日本軍の作戦を知るために日本兵の死体から、日記を回収していたという)。ソ連の農民出身兵や、中国国民党の軍閥上がりの兵士とは違うのだな。余談であるが、日本兵は毎月給料を支給されていたが、国民党の軍隊は「戦場での略奪を黙認する」のが給与であったという。戦場での残虐行為、どっちの軍隊がやっていたのだろうか?
さらに、特攻隊で亡くなった若者たちは、決して洗脳されたわけではないということ。検閲されている遺書には本音は書けないのだ。
そして、もうひとつが、戦争を選択したのは、軍部の暴走でも、資本家の陰謀でもなく、朝日新聞社の「腰抜け東条、勝てる戦なぜやらぬ」という記事をはじめとする愛国記事に煽られた国民自身であったということ。
作者の百田氏も同世代の一人として、同じ発見をし、同じ驚きをしたのだと思う。
この「永遠の0」は、その驚きの体験を、若い主人公が、特攻隊で死んだ祖父の人物像を調べるという過程に仮託して描いたものである。
「海軍一の臆病者」とさげすまれた宮部は、そのまま、現在、中国・韓国から「戦犯国」と卑下される日本と言う国に重なる。
そして、生き残った仲間が、宮部の妻子を守るために帰ってきてからの献身は、そのまま戦後復興にまい進した生き残り世代の献身に重なるのだ。
戦場に赴く宮部に、妻と子に「死んでも生まれ変わって帰ってきます」と言わせた百田。
そして帰ってきた戦友に助けられ、姿を変えた夫が帰ってきたのだと思う妻。
俺は不覚にも涙した。百戦錬磨の読書野郎で、自分でも小説を書く俺が涙した。
子供たちの世代に、素晴らしい国を残していきたいと考える、俺や君や大勢の日本人は、全員、あの戦争で死んでいった若者たちの生まれ変わりなんだ。
子供時代に、「日本人に生まれて申し訳ありません」という気持ちになり、子供心に「どうして僕は日本人に生まれたのだろう」とまで思った俺は、今、「日本人に生まれたことを誇りに思っている。あの戦死した若者たちの遺志を次ぐために生まれ変わってきたことを誇りに思う」
百田氏は、その感動の気持ちをどうしても若い世代に伝えたかったのだ。
俺は、その気持ちがわかる。この作品を書いてくれてありがとう。心から、ほんとうにありがとう。

永遠の0 (講談社文庫)

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作者は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編

神様の立候補/ヒーローで行こう!
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by hajime_kuri | 2014-03-17 21:00 | 戦記 | Comments(0)



これは、映画「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」の原作である。
4時間で一気に読了した。
太平洋戦争中、日本軍が玉砕したサイパン島で、戦後3か月まで、民間人100人以上を含むコミュニティーを率いて、アメリカ軍と知略を尽くして戦い続けた大場大尉の部隊を描いた小説である。すべて実話に基づいていて、原作者は当時大場隊と戦っていたアメリカ軍の兵士出身のジャーナリストである。
原作者ドン・ジョーンズの「現代の日本人が忘れてしまった歴史、忘れてはいけない歴史」である。
戦後の自虐歴史教育で育った私には、胸が熱くなるような物語であった。

「日本人であることに胸をはりたい」、そんな本である。
タッポーチョ 太平洋の奇跡 「敵ながら天晴」玉砕の島サイパンで本当にあった感動の物語 (祥伝社黄金文庫)
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by hajime_kuri | 2011-02-26 20:42 | 戦記 | Comments(0)
小林よしのり氏が今月の「ゴー宣」の特別版で「占守島攻防戦」を描いた。
よくぞ描いてくれた。
じつは、この話は、このブログでも以前紹介している。

「八月十五日の開戦」池上 司 (著) 角川文庫

まさに知られざる戦記である。
角川書店は、「戦国自衛隊」をリメイクするより、この戦いを映画化した方がよい、と今も思う俺である。
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by hajime_kuri | 2005-07-26 21:21 | 戦記 | Comments(0)
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映画「ブラックホーク・ダウン」の原作となった戦争ドキュメンタリーである。

1993年10月3日、内戦が続くソマリアの首都モガディシュにアメリカ軍特殊部隊が空挺降下した。デルタ、レインジャー、SEAL、PJ(パラジャンパー)など陸・海・空軍の精鋭99名からなるこのタスク・フォースの任務は、国連の平和活動を妨害する武装組織アイディド派の最高幹部を拉致すること。順調に行けば一時間足らずで終わる簡単な作戦のはずだった。映画「ブラックホーク・ダウン」の原作となった戦争ドキュメンタリーである。

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by hajime_kuri | 2005-03-07 10:06 | 戦記 | Comments(0)
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一九四五年八月十五日、日本が無条件降伏を受け入れたその日に、ソ連は北海道占領作戦を発令した。
北千島の小島・占守島に侵攻を開始したソ連軍の圧倒的な兵力を前に、本土帰還の望みを砕かれた日本軍将兵たちの孤独で困難な戦いが始まる。一方、米国に調停を求めるため、密使はマッカーサーの許に飛ぶ。祖国分断の危機を回避すべく、太平洋戦争最後の戦いに身を挺した人々の壮絶な運命を描く戦史小説である。

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by hajime_kuri | 2004-11-23 08:06 | 戦記 | Comments(0)

新しい正義のありかた

ここ数日、イラクの外国人が集中的に誘拐されている。
強大なアメリカの武力の前に武装勢力は、弱い部分を突いてくる。そして国際社会と人質の国に「アピール」をするという、いわば外交攻撃であろう。
イラクとアメリカは、お互いの復讐を血で血を贖うように繰り返し、いまやパレスチナとイスラエルのような有様である。暴力の連鎖だ。
武力による「正義」の駆使が大きな限界にぶち当たっているのだ。そろそろ、新しい、正義のあり方が模索されてもいいのではないか。少なくとも、武力による解決を否定している日本なら、そういったある意味「理想バカ」のようなことを提言できるのではないだろうか。
だまし討ちのような形で派遣はされたものの、今となっては、戦わない軍隊「自衛隊」はその意味でも、イラクで「平和を希求する日本」の象徴としてアピール出来たのではないかと感じられる。
じゃあそれはどんな方法なのだ、といわれると答えようがない。
でも今まで自民党政権は、そのような方法を考えようともしなかった。逆に、左翼系の勢力は、アメリカ帝国主義反対一色で、反米勢力はみな正しい、みな犠牲者、みな可愛そう、という二元論が前提としてあり、やはり、俺としては首を傾げざるを得なかったのだ。
日本は、平和に対する日本の思い(憲法とか)の国際的なアピールが絶対的に不足していたのではないか。自民党政権は、アメリカと同じことができない、ということで国際貢献ができない、と断定しているようだが、それは違うだろう。アメリカのできない方法を考えてみないか。
指輪物語で、ホビット達はおよそ「戦えない」連中だが、アラゴルンたちよりよっぽど重要な役を果たしているではないか。

ということで、派遣決定直前の自衛隊派遣に関する俺の過去の記事↓
 「指輪物語」で考えたこと
をトラバしておいた。

でも今書いたようなムーブメントに、プロ活動家がしゃしゃり出てきてでかい顔をするのは嫌だな(笑←本当に嫌いなんだな俺)
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by hajime_kuri | 2004-04-13 20:45 | 戦記 | Comments(6)
  第二次大戦中、アメリカ陸軍の中に、日系二世の若者達で組織されたいわゆる「二世部隊」があったことは皆さんもよくご存じだろう。「第100大隊」と「第442戦闘連隊」である。陸軍随一の戦功と同時に最大の犠牲も払った最強部隊である。パールハーバーの奇襲以来、日系ということで差別と偏見にさらされ、家族は強制収容所へ送られる(ハワイではそういうことはなかった)。そんな中、アメリカに対して、忠誠心と愛国心を示すために、二世の若者達は競って志願したのである。
 本書で俺が、心を打たれたのは、彼らの華々しい戦果や英雄的な行動ではなく、自分たちのアメリカに対する気持ちを「行動で証明する」というところ。現代人ならどうしたであろう。抵抗運動だ社会運動だ抗議行動だというところではなかろうか。彼らは差別と偏見に対して、「百の言葉より一つの行動」でそれを示そうとした。これは日本人一世たちの教育した、日本人の美学の結果なのだろう。
 現代の日本に、そういう美学を尊重する気持ちがあまり残っていないのが残念である。 本書を読むと、彼ら二世の兵士達の戦時における青春が生き生きと伝わってくる。彼らの中の「大和魂」に触れて欲しい。そして我々も日本人として彼らの気持ちに胸を張りたいと思うのである。

若者たちの戦場―アメリカ日...←アマゾンへGo!

1950年代の映画↓
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関係リンク
矢野 徹 (著)
442連隊戦闘団―進め日系二世...角川文庫 緑 403-7←アマゾンへGo!




 「442ND」の映画もある。
 映画「442ND」の公式サイト

 その予告編




※日系二世部隊に関しては、Hawkeyeさんという方が、ホームページでも「二世部隊物語」を掲載している。力作。↓
「二世部隊物語」
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by hajime_kuri | 2004-04-05 00:11 | 戦記 | Comments(0)
a0003784_8718.gif 日露戦争の分水嶺となった旅順の戦いを克明に書き上げた歴史小説である。
元グリーンベレーの柘植氏ならではの視点で描かれる戦争。戦争の善悪も戦いの良否も超越した徹底した描写は、かえって戦争の悲劇性を強く訴えかけるのだ、と改めて感じた。特に二百三高知の戦いは攻める方も守る方も地獄の様相である。

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by hajime_kuri | 2004-02-15 08:08 | 戦記 | Comments(0)