「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

カテゴリ:ミステリ( 18 )

「千里眼」でも紹介した松岡圭祐のもう一つのシリーズ・マジシャンである。
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主人公は椎橋彬という孤独な少年、唯一の趣味はマジック。両親に絶望した15歳の少年は破綻し家を飛び出し東京へ。“万引きGメン”の活躍を知った少年はマジックの知識で万引きを見破り、若き辣腕"万引きGメン"として一躍マスコミの寵児となる。が同時にそれは、防犯カメラを巧みに欺く真の万引きの天才の誕生でもあった。やがて舛城徹警部補と天才マジック少女・里見沙希の追跡が始まる。というのが今回のストーリー。
彬が犯罪に手を染めていくまでの過程が丁寧に描写され、読者は「ああ、あのころ(十代)はそんな気分だった」と彬にどんどん感情移入していく。

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by hajime_kuri | 2004-12-17 06:08 | ミステリ | Comments(2)
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 時は大正十四年、帝都東京に突如不死身の怪人が現れた。その正体は、狂気の元軍医が生み出した人造生命だった!
 思わず、ああ、またかという設定(笑)
 古くは帝都物語を始めとして、明治大正昭和初期を舞台にした探偵ものは数えきれないほどある。また、それにホラーやSFや軍事を絡めた作品も多い。
 もし俺が作者なら、この設定を考えただけで、もう作品化はしなかったと思う。
 が、作者は作品化してしまった。しかも、とことん面白く。その原因は、主人公木暮と彼を取り巻くキャラクターたちの魅力につきる。なるほど、ここまでキャラ立ちさせるなら、手垢のついた設定でもいいな、と思い知らされる。むしろ、面白さに関しては間違いないだろうという安心感すら感じさせる。
 怪奇事件専門(本人は望んでいない・笑)探偵の木暮十三朗。恩人にしてパトロンの娘・礼乃(れいの)。美少年(高畠華宵がモデルに所望するかもしれないほど・笑←うまい)のスリ・渡(わたる)。典型的な少女漫画のキャラではないですか、この確信犯め。
 彼らの今後の冒険の結末が知りたいだけで、もう次の巻を買う気にさせてしまう。シリーズものの気持ちよさをよく知っているなあとうれしくなった作品だ。
 ただしアニメ調の表紙は個人的にはいただけない。表紙だけで引いてしまった年長読者もいるのではないだろうか。また気になったのは、「ばっちり」という礼乃の言葉。大正時代にこんな表現はあったのだろうか。ひょっとしてあったのかもしれないが、俺は作品の中で違和感を感じた。面白いだけに残念だ。
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by hajime_kuri | 2004-08-01 18:59 | ミステリ | Comments(0)
a0003784_184734.jpg「僧正殺人事件」(ヴァン・ダイン)は終わっていなかった-。反日感情が日ごとに高まるニューヨークで、贖罪の山羊に供されんとする日本人を救うため、あの名探偵が立ち上がった! 黄金期本格の香りが21世紀に甦る長編。ということになっている。
あの名探偵とは、金田一耕介である。
本家の中で語られる、一時米国を放浪していた金田一が、パトロン久保銀蔵と出会うきっかけとなったという事件がこれだという設定。うまい。
私には、何を読もうか迷ったときは、この作家のものを読んどけば間違いない、という作家が少数ではあるがいる。その数少ない作家の一人が山田正紀である。「神狩り」とか「弥勒戦争」のころからのファンである。そして一度も裏切られたことがない。
ミステリ作家としての山田正紀が「本格」のそれも「探偵小説」にまい進しているのだから、この作品が過去の作品に対するリスペクトに満ちているのもうなずける。
以下、少しネタバレだが、個人的には、被害者二人が同一人物だった、というのもありかなと感じた。

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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
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by hajime_kuri | 2004-06-27 18:48 | ミステリ | Comments(5)
a0003784_233453.jpg 千里眼シリーズの七作目であり、マジシャンシリーズを取り込むような形で展開する。
 お台場に作られた一大カジノの試験運用会場が、島ごとテロリストに占拠される。作者お得意の大風呂敷をはじめとして、突っ込みどころの多い作品だ。でもやっぱり一番の突っ込みどころは主人公のスーパーレディ岬美由紀だろう。
 防衛大学出身、航空自衛隊幹部候補生からF15Jイーグル戦闘機パイロットを経て、現在は「千里眼」の異名を取る臨床心理士(カウンセラー)って書いているだけで苦笑い。
 でも、いったん読み始めるや、とにかくやめられない。
 極めて辛口の俺が、松岡圭祐の本は、全部「自分で購入」して読んでいるのが何よりの証拠だ。
 このシリーズは、昔夢中になった、「ウルフガイ」とか「ゾンビーハンター」とか、「魔獣狩り」といったシリーズを彷彿とさせる。ページを繰らせる力とでも言えばいいか。
 また格闘オタクの俺には主人公・美由紀が中国拳法の達人という設定もうれしい。でも文章で表現されたアクションはおそらく素人にはちんぷんかんぷんでしょう。旋風脚とか騰空擺蓮とか書いても伝わるのは雰囲気だけだ(伝わる俺の方がある意味おかしい・笑)。
 で、岬美由紀がしばしば披露する得意技・旋風脚(シュエンフォンジアオ)というのがこの写真。筆者(俺)自らがモデルとなりました(撮影・息子)、憧れて練習しましたよ。ビデオを手本に一人練習(←ホーリーランドかよ、俺)↓

 回り切れていないとか、低い、とか突っ込みどころの多い写真ですが、46歳のハゲオヤジがやってることですからお許し下さい。


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by hajime_kuri | 2004-03-24 23:27 | ミステリ | Comments(0)
a0003784_104712.jpg 先日、映画版を見たので読み返した。で、結論として、映画版は見なくてよい(笑)。また映画だけ見た人は、必ず原作を読んで欲しい。映画だけで判断しては、桐野女史が気の毒だから。

 パートタイマーの主婦雅子はパート仲間が殺してしまった暴力亭主の死体を処理するはめになる。それをきっかけに、彼女たちの平穏な日常が、崩れていく。
 それでも、その「平穏な日常」を嫌悪していた主人公は、その中でたくましさをましていくのである。すごい。作者が女性であるからこそ紬出せた物語であろう。
 読後感は重い、しかし、カタルシスがある。雅子の強さ、「男まさり」のようなかっこよさはなく、ちゃんと「女性の強さ」ならではのかっこよさである。俺と同様、この主人公の強さに喝采を送った読者も多いのではないか。

 昔、「単調で貧しい日常に倦み疲れた独身労働者(つまりは俺のような)」のカタルシスは「大藪春彦」の小説だった。暴力を背景にのさばる連中を、それを上回る暴力で倒していく大藪小説。
 「OUT」を読んで、これは「平穏な日常に倦み疲れた女性」のための小説なのだと思った。桐野夏生は女達のための大藪春彦になったのである(←少し暴論・笑)。
OUT 上 講談社文庫 き 32-3←アマゾンへGO!
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by hajime_kuri | 2004-03-15 10:48 | ミステリ | Comments(4)
a0003784_23752.jpg表紙画像はない。すまん。かわりに主人公の銃ね。

 ベトナムで狙撃兵としてマークスマン勲章を与えられたほどの活躍をしたマック・ボランが故郷に帰ると、家族はマフィアに殺され、妹は辱められていた。ボランはマフィアに潜入し組織を壊滅させる。だがそれは、マフィアとの闘いのほんの第一歩にすぎなかったのだ。

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by hajime_kuri | 2004-02-23 23:08 | ミステリ | Comments(0)
a0003784_23380.jpg 作者のデビュー作である。山梨の地方出版社(作者が社長)から始まって中央の出版社から文庫化されるという、出世魚のような作品である。
 通称八馬鹿村(やつばかむら)と呼ばれる因習の村に伝わる奇妙な子守唄。その子守唄に合わせた「見立て連続殺人事件」の物語である。舞台には「獄門」寺というのも出てきますな。
 物語冒頭、村を見下ろす鬼首峠(おにくび、「おにこべ」じゃないよ)にキンダイチという探偵が現れる。小便をしているのである。そこに通りかかった一人の老婆、「はい、はい、おりんでごぜえやす」と書いただけで、もう横溝正史の一連の作品が脳裏によみがえるはず。そりゃあもう全部読んでますよ私は。
 この作品は、金田一耕助シリーズの本歌取り、いわゆる上質のパロディである。元ネタを知っていればおもしろさ三倍増だ。しかし、パロディだからという甘えに乗っかった作品ではない。ちゃんとミステリとして立派に成立している。ミステリとして面白い。
 横溝正史の作品はみんな読んでしまった、もう新しいやつは読めないんだ、と諦めている読者の方に、この作品をお薦めする。ちなみに、この探偵の四季は、秋と冬も存在し、それぞれホームズものと「Yの悲劇」などクイーンもののパロディになっている。
探偵の夏あるいは悪魔の子守唄創元推理文庫←アマゾンへGO!

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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
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by hajime_kuri | 2004-02-19 23:38 | ミステリ | Comments(0)
a0003784_204532.gif 1998年の作品を何で今更、などと言う声が聞こえてきそうだが、私は基本的に自分で買う本は文庫本と決めている。というか文庫本しか買えない(涙)。
 ということで、発表年度は気にしないでいただきたい。

 一人称のハードボイルドミステリーは文体というか語りが命だ。久しぶりに文章のリズムで酔わせてくれる作品に出会った。それがこの「池袋ウエストゲートパーク」だ。

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by hajime_kuri | 2004-02-13 20:33 | ミステリ | Comments(6)