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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

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 日本人は文章を書くことが大好きだ。特に近年、インターネットでBLOGやSNSなど自分の意見やコメントを発表する場所や手段が爆発的に増えたため、全国民が評論家になったような状態である。

 このような書き出しを読むと、この後、そんな風潮を嘆いて辛口の批評でも書くだろうと思われるが、それは普通の自称知識人さんにお任せする。
 私自身は、そんな現在に大賛成。今まで出版や放送という高い壁で守られていたメディアに対して、一般人(私も含む)が声を上げることができる現在はいい時代である。

 楽器ができない、楽譜が読めない、俺音痴だし、といった壁をボーカロイドが崩してくれた。良いメロディーができたんだ、発信すれば、瞬く間に大勢が集まって編曲や演奏をして曲を作ってくれる。その曲をプロの音楽家がカバーする。痛快な時代じゃないか。
 同様に、今まで既存メディアが取り上げなかった声なき声がネットを通して発表されているのである。

 そのような意見表明の場でよく見られるのが「炎上」だ。だが炎上するケースには必ず原因がある。さあ、長い前振りだったが、今回は、「反感を買う文章、反感を買う表現」に関しての話である。

 話を聞いた相手、文章を読んだ読者が、反感を感じる場合の大半が、その人の「上から目線」である。
 例えば、人に知識を伝える場合、「知らないみんなに教えてあげよう」という上から目線では反感を買うだけだ。学校など、最初から知識を習う場所ならいざ知らず、普通の場面で人に教える場合、「知らないことを小馬鹿にされた」「ほう、よくご存じでご立派ですね」と反感を買うこともある。反感を買わない話し方は、「知らなかった自分が、これを知ってこう感じた」と体験に変えて話すことである。
 上から目線が許されるのは、その道を究めた専門家だけである。また専門家には言論にそれだけの責任があるわけだ。

 もう一つの反感は「自慢」である。人間は誰でも自分をよく見せたいし、よく見られたい。自分を見てほしい。無視されたくない。このような気持ちを、「承認欲求」というのだが、会話や文中にそれが散見されると相手や読者から反感を買うし、人によっては軽侮の感を抱かれてしまう。

 この承認欲求の最たるものが「自分史」である。この「自分史」でその人の成熟度がわかるのだ。経営者の方などで自分史を書かれる方も多いが、優れた自分史では、自分の成功や自慢などは一つも書かれていない。逆に失敗を語っている。その失敗で何を学んだかが書かれている。失敗していたときに支えてくれた周囲に対する感謝が書かれている。功成り名を遂げた自分などは、今の自分を見てくれればわかる、と構えている。そんな経営者こそかっこいいよね。

 反感を買わないモノの言い方って、あると思う。みなさんも工夫してみてほしい。

 作家・清水義範さんは「身もフタもない日本文学史」の中で、「日本人がエッセイを書くときは、男は兼好になって社会をしかり、女は清少納言になってセンスを自慢する」と書いている。現在の日本のインターネットには、まさに兼好と清少納言があふれかえっている。

 だから、インターネットは面白いのだ。


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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編

神様の立候補/ヒーローで行こう!

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏
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by hajime_kuri | 2015-04-25 11:45 | 小説指南 | Comments(0)
夢を売る男 (幻冬舎文庫)

 輝かしい自分史を残したい団塊世代の男。スティーブ・ジョブズに憧れるフリーター。自慢の教育論を発表したい主婦。本の出版を夢見る彼らに丸栄社の敏腕編集長・牛河原は「いつもの提案」を持ちかける。「現代では、夢を見るには金がいるんだ」。牛河原がそう嘯くビジネスの中身とは。現代人のいびつな欲望を抉り出す、笑いと涙の傑作長編。というのがアマゾンの内容紹介。
 丸栄社ってのは、文●社がモデルなんだろうな(苦笑)。●芸社は2000年ごろから「公募ガイド」などに広告を打ちはじめて、いわゆる自費出版ビジネスのムーブメントを作り上げたのだが、ブログやSNSなどで語り始めた現代日本人の自己顕示欲やアイデンティティ承認欲求を上手くくすぐって成長した。
 私自身、若いころから小説を書いていて、それを人に読んでもらいたくてインターネットのホームページを作り始めた人間なので、自分の本を出す夢を見る人たちの気持ちはよくわかる。
 そんな業界を舞台にしたユーモア小説である。文芸出版って苦しいんだなってのがよくわかる。作中で、主人公の編集者が、力ある才能は、もう小説ではなく、マンガや映像やゲームに流れている、という言葉が出てきて、それはあるかもなと感じたりした。昔はエンターテイメントの主流であった小説。今は、マンガや映画やゲームなどストーリー型のエンタメの選択肢は多いもんね。
 実は私も小説では食えませんので、派遣社員やバイク便のライダー(これは先日引退しました)で日銭を稼いでいるが、派遣の仕事は、苦情電話を受けるという仕事。この作品に出てくる、本を出したい、というような自己顕示欲やアイデンティティ承認欲求の強い皆さんからの電話を日々受けている。
 百田氏の描く人たちがリアルでリアルで笑いを誘う。特に、団塊世代の元三流大学の教授というキャラクターが秀逸。月に一度は、この手の上から目線で企業を叱りたい、という団塊世代からの電話を取っている(苦情)。
 百田氏が嫌われるのは、こういう団塊世代をよく観察して遠慮なく描写するからかもしれない。

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

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作者は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編

神様の立候補/ヒーローで行こう!

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薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏
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by hajime_kuri | 2015-04-14 19:26 | ユーモア | Comments(0)
鳩山元首相、6月に訪露へ 「プーチン大統領と会う機会出てくる」「普天間移設は国外しかない」

俺の予言。
2015年、年末あたりののビッグコミックのゴルゴ13のエピソードはこれだ。

「謎の依頼人」

「13年型のGトラクター買いたし」という、いつもの新聞広告で呼ばれた東郷は、アノニマスのガイ・フォークスの仮面の依頼人から、日本の元首相の奇妙な暗殺を依頼される。

依頼人は、「彼が死ぬことによって神格化されることは絶対にあってはならない」と言う。
依頼人「私たちが殺してほしいのは元首相の命ではなく、彼の名声と信用なのです」
ゴルゴは、弾をはずして元首相を脅かし、狼狽した醜い姿を世界中にさらけだす。
しかし、怪訝に思った東郷は依頼人の素性を調べるという話。
ラスト、暗殺を依頼したのはネットで募金した日本の国民たちだったというオチ。

いいでしょう。この話。

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by hajime_kuri | 2015-04-11 10:07 | 時事 | Comments(0)
 今回は、昨年書いた「自分だけの、どこでも執筆環境の構築」の続編である。

 仕事を持ちながら小説を書いている方にとっては、じっくりと作品と向き合う時間を持つことは至難の業だ。そこで以前の記事では、どこでも原稿の執筆ができるスタイルを作者の経験から説明した。
 テキストを打つデバイスとして主としてキングジムのポメラを使い、校正などはスマホ、最終完成はPCという具合に主にハード面のお話だった。そこで、今回はソフト面から。
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 会社員をしながら小説を書いていくためには、どこでも原稿が書けると同時に、細切れの短時間にすぐ原稿と向き合えることも非常に重要だ。
 そこで新幹線の移動中や、不意に生じた待ち合わせの時間などにも、書いてある原稿の推敲や校正ができるように、完成までの原稿を「EverNote」というクラウドアプリで管理している。このアプリはテキストのみならず写真などのファイルも保存が利き、アプリの入ったPC・スマートフォン・アンドロイドタブレットなどであれば、どこからもアクセスしてファイルの修正が可能である(写真参照)。
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 出先で思いついたアイデア、資料になりそうな撮影した写真などをスマホからアップする。PCで書き始めた第一章を保存しておき、出先での空き時間にスマートフォン等のデバイスから修正するなどの使い方をしている。さらにいいところは、自分のアカウントのEverNoteのEメールアドレスができるので、そこへメールで送ったものが、そのままノートとして保存されるのだ。

 私は、iPhone上でキングジムのShotNoteというアプリも使っている。これは、四隅にマーカーの入った紙に書いた文字を撮影すると、それの歪みを補正して画像ファイル化してくれるもので、添付した画像のようなものができる。これもShotNote上から直接メールで送信が可能なので、EverNote宛に送ってやると、ダイレクトにEverNoteのノートになって保存されているというナイスな連係プレーが可能だ。
 実際の小説執筆に当たっては、章ごとに1ファイルにしてそのファイル群を小説タイトルのノートとして保存している。これをそのまま、アウトラインプロセッサに落とし込んでいるわけだ。
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 またアウトラインプロセッサは、いろいろな種類がある。私はStoryEditorを使っているが、Macとwindowsが混在するような環境であれば、Olivia IWEがすぐれものと言われている。
 みなさんもいつでも執筆できるスタイルを試行錯誤していただきたい。楽しいよ。

EverNote
Olivia IWE


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by hajime_kuri | 2015-04-09 13:06 | 小説指南 | Comments(2)
これは、架空のテレビアニメ「宇宙キッド」に出てくる「怪獣図鑑」という設定で、作者murbo氏のデザイン作品集でもある。
昭和40年代のアニメ的な設定で、作者が自由に作り上げた造形物がカード形式で図鑑になっている。とってもキレイです。「大阪万博」的なレトロな未来感を狙っているけど、いい感じ。
巻末に架空広告まで入っている凝りように思わずニヤリ。
3DCGに興味のある方や、入門者にはおすすめ。
続編もある。架空アニメは3シーズンあったという設定なのだった。


宇宙キッド 怪獣図鑑 魔人ゴース編 [Kindle版]

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by hajime_kuri | 2015-04-03 22:59 | art | Comments(0)
 ドローン運用部隊の物語の構想を練るという形で続けてきたシリーズ最終回である。この物語の発想のきっかけは、テレビのニュースで知ったアメリカ軍のドローン(無人機)による敵兵殺傷に驚いたことである。具体的にはデスクワークとして人を殺せることに驚いたわけで、さらにつっこんで身体に障害があっても兵隊になれる、させられるという可能性に気づいて、障害者の社会参加という、美しい題目が、同時に戦争という犯罪をも支えうるという皮肉が、極めて現代的だと感じたことである。

 この物語では、この「美しい題目と醜い現実」の対比を、「絶望する若者に最後まで寄り添う娘の愛情と、憎しみの連鎖を克服できない人間に対する絶望感」の対比によって語っていくのだが、あくまでストーリーの発想は、「皮肉な物語構成」を思いついたところである。最初から、「憎しみの連鎖を止められない人間に警鐘を鳴らすため」に物語を発想したのではない。
 作家の中には、これを勘違いしてしまう方も多い。今回の場合だと、対外的に「憎しみの連鎖を止められない人間に警鐘を鳴らすためにこの物語を書きました」と言ってしまうのだ。その方が評論家は喜ぶからである。

 だが、これとは違う物語の発想方法もある。今、私が構想している作品だが、これは52歳の時に「うつ」で会社を辞めた私の心境の劇的な変化を作品で書きたいというのがきっかけである。
 「うつが悪化して、会社を辞めざるを得なかった」という失意と絶望と劣等感でいっぱいだった私が、周囲の環境も収入状態も家族の関係も、何一つ変わっていないにも関わらず、「うつのおかげで、会社を辞めるきっかけができた」と考えるようになったこと。その後に出会った様々な人達を見て、この人たちに出会えたから、会社辞めて正解だった、と思えるようになったこと。この心境の変化のおもしろさを、なんとか小説作品で伝えられないかと考えている。

 このように、自分の体験から作品を作る場合は、よいお酒を造るように、その発想を寝かせ熟成させる時間が必要になる。特に、つらい体験や大失敗のようなことほどそうだ。周囲に対する「恨み」や、「恥ずかしさ、照れくささ」など、個人的な邪念を吹っ切る必要がある。作家は作品づくりのためには冷静で、ある意味酷薄であるが、それは社会や周囲だけでなく、自分自身に対しても同様である。

 物語を発想する、二つの場合。前者はエンターテイメント、後者は文学と言えばいいのかもしれない。だが、どちらにも共通するのは、リアルな人間の心を描くことで作品の良否が決まるということである。


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by hajime_kuri | 2015-04-03 18:51 | 小説指南 | Comments(0)
電子書籍のPRフリーペーパーの第五号。
今回から誌名が「北極大陸」に変わりました。
私の「不死の宴」は連載第三回です。
下記のボタンをクリックすると、PDFがダウンロード。印刷は、両面印刷右綴じがお勧め。

北極第五号
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by hajime_kuri | 2015-04-01 21:07 | 俺の作品 | Comments(0)