「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

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 小説の中では、説明や描写のいわゆる「地の文」と、「」で囲った人物の会話とが存在する。作家は大なり小なりこの二つにコントラストをつけている。またコントラストをつけることで面白さが出せる。
 意味的には、地の文は「客観的」で会話の方はその人物の「主観」なのであるが、技法的に語ってみる。

例文

 店のドアを開けて外へでると、商店街を流れるポール・モーリアが聞こえてきた。もう半世紀近く、この時間帯はポール・モーリアだと聞いていた。
 店の閉まったシャッターとアーケードに反響して大きな音量なのだが、音が大きいほど侘びしさも大きいのだった。
 「えらいことになったがね」と声をかけられて振り向くと、真理子だった。
 「偉いって、俺のこと?照れるな」と答えると、「えらいってのは大変ってことだがね、何言うとるの」と言われた。
 ああ、毎度のことながら、この名古屋弁で真理子の美貌も台無しだと思った。

 地の文は標準語で、会話は名古屋弁。一番原始的な方法だけど会話のリアリティーは出てる。

 この方法で、実は記事や論文での印象操作もできる。
 自分の主張を「冷静な地の文」で語り、反対意見を反対者の「感情的な会話」で書くことにより、相手を貶めて「上から目線」で語れるわけである。

 滑稽なことにそのような手法を、一流と言われる新聞の社説などで散見する。
 みなさんもそう言った文章は苦笑して読めるように成ってほしい。


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by hajime_kuri | 2017-01-13 22:13 | 小説指南 | Comments(0)
 小説には「情景描写」が必要不可欠である。そこが、どのような場所であるか、キャラクターは何を感じどう行動するか、どのような状況なのかは「描写」で読者に伝えられる。
 そこで考えてほしいのが、その描写は、「単なる説明代わりの描写になっていないか?」ということ。
 主人公がある目的で誰かの家に訪問した時の描写。

単なる説明代わりの描写の例文

 その家は二階建だった。ガレージに二台の駐車スペースがあり、一台分が空いていた。ガレージの隅には数台の自転車が壁に立てかけてある。

いろいろな情報が盛り込まれた描写

 その家は二階建てだった。南の庭と二階のベランダで、弱い日差しを浴びた洗濯物が干されている。
 ガレージには二台分のスペースがあったが、停まっているのは赤い軽自動車が一台だけだ。ガレージの隅には、婦人用の自転車と子供用の自転車が壁に立てかけてある。

 最初の例文は、単なる説明だが、後者の方は、「二世帯住宅」であることと、主人が出かけていることがわかる。
 さらにガレージが整頓されているか否かなどの描写で、その家庭がどのような状況かまで読者に伝えられるだろう。

 映画で言えば、前者の文は、普通になめて撮影しただけだが、後者の場合はクローズアップやズームで撮影しているわけである。

 また、「洗濯物が干されている」などの部分で、「何度も洗って色の落ちた女物のワンピースが、力なくぶら下がっていた」などのように、「語り口」で物語全体のトーンを暗く陰鬱なものにしたりもできる。

 こういう工夫をこらすところが小説を書く楽しみでもある。


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by hajime_kuri | 2017-01-13 22:09 | 小説指南 | Comments(0)