人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

「流星ワゴン」重松清



死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。

重松氏の描く3組の父親と息子の物語である。
自分が父親になった時、まず考えたのが、俺の父親が今の俺の年だった時、同じ状況でどう考えたのだろうか、ということだった。自分の子供が成長する折々の局面で、いつもそれを考える。そして同時に、自分が息子と同じ年だった時、どれほど父親が嫌いだったかということも。
僕の父親は、80歳を目前にして、ぽっくりと急逝した。何しろ、死ぬ数時間前に、自動車を運転して確定申告の会場へ行っていたぐらいの急死だった。
この作品を読んだ最初の感想は、ああ、俺は結局、本当の意味での和解をしないうちに親父と別れてしまっていたなということだった。
この作品の父親たちは、父になることによって、はじめて自分の父と和解を果たす。読んでいて、何度も目がうるんできた。
俺も、父として、家族と向き合って、もう一度、生きてみようという気持ちをもらった。

流星ワゴン (講談社文庫)
by hajime_kuri | 2013-05-11 19:36 | 純文学