「本棚探偵の冒険」喜国 雅彦(双葉文庫)
2005年 04月 05日
古本好きなら、うんうんとうなずく笑えるエピソード群。
喜国さんの文章の達者なことにも驚いた。
「傷だらけの天使たち」「日本一の男の魂」などの著作で知られるマンガ家・喜国雅彦。彼が古本マニアとは、これを読むまで知らなかった。古本にまつわるエピソードを独特な語り口とイラストで表現。古本が決して嫌いなわけではない俺など、思わずニヤリとする話ばかり。
特に、角川文庫の横溝モノから本の収集が始まるエピソードは笑った。
あのころ、角川はよく文庫カバーの架け替えをやったのである。おかげで、俺の本棚には、大藪春彦の「復讐の掟」が三冊ある。当時、大学生の俺が、カバーが変わったのに気づかずに、新刊と思って買ってしまったものだ。しかも、読み終わって本棚に入れる段階まで、すでに読んでいたことに気づかない。ストーリーがみなほとんど同じという、大藪作品だからこそである。大藪作品に関して弁護すれば、彼の作品はストーリーではなく、その語り口やシチュエーションや小道具などを味わうものだから、俺にとって、ストーリーはあまり重要ではないのである。
ちなみに、俺の古本の中で、一番高そうなのは、湊屋夢吉の「紅龍異聞」だろうか。
「本棚探偵の冒険」喜国 雅彦(双葉文庫)
by hajime_kuri
| 2005-04-05 20:32
| エッセイ