「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

デイズ・オヴ・ホミサイド

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SF小説には、架空の社会制度を想定して、その社会を舞台にした物語を紡ぐものがある。古くはレイ・ブラッドベリの本が禁止された社会を描いた「華氏451度」。最近では、「イキガミ」など、このジャンルには傑作が多い。
今回ご紹介するのは、弾射音の「デイズ・オヴ・ホミサイド」という作品。意味は「殺人時代」かな。
人々の脳の中身を記憶から性格からすべてをバックアップするようになった近未来。人々は一週間に一度自分の脳をバックアップしている。死んだ後も仮想空間で最長一週間前の自分にロールバックして生き返ることができるのだ。仮想空間には、勤務先の支店まであり、やりかけの仕事は「あの世」に転勤して続けることができる。死の意味が恐ろしく軽くなった社会なのである。
ここでは、人を殺しても、周囲の人からは「電車の中で酔っぱらってゲロを吐く」程度のひんしゅくを買うだけだ。
主人公は女を殺して、仮想空間によみがえった女から復讐をされるのだが、死んでもそれほど困らない社会で、どのような復讐を行うのか。また仮想空間から実空間の主人公にどう復讐するのか?
1アイデアでぐいぐいと進むストーリーに引き込まれる。
作者は、第一回インターネット文芸新人賞で登場したのだが、もっぱらネットで活躍してきた。電子書籍が注目を浴びる今こそ、時代が彼に追いついたと言えようか。
ボーカロイドが楽譜や楽器と言う壁を壊して新しい音楽の才能に道を開いた。今、電子出版が、印刷や製本や発行部数と言う壁を壊して新しい文学の才能に道を開いたということか。
SFファンは必読だよ。

デイズ・オヴ・ホミサイド

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編・栗林元

神様の立候補/ヒーローで行こう!・栗林元

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編・栗林元

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元
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by hajime_kuri | 2014-02-02 19:22 | SF