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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

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この本、いたるところで薦めまくっていたけど、肝心のこのBLOGでは紹介していなかったので遅ればせながら紹介。
人々の血が流される戦いが「実」の戦いとすれば、ここで描かれる戦いは「虚」の戦いである。「情報の国際化」という巨大なうねりの中で「PR」=「虚」の影響力は拡大する一方であり、その果実を得ることができる勝者と、多くを失うことになる敗者が毎日生み出されている。今、この瞬間も、国際紛争はもちろん、各国の政治の舞台で、あるいはビジネスの戦場で、その勝敗を左右する「陰の仕掛け人たち」が暗躍しているのだ。――序章「勝利の果実」より



「民族浄化(エスニッククレンジング)」というキャッチコピーの創出こそが、この宣伝戦争の勝敗を分けたといえる。そしてこれは、ボスニアを孤立させることに成功したアメリカのPR会社の力なのである。

同様のプロパガンダによる攻撃は実は日本にも向けられていて、その最たるものが「従軍慰安婦」と「南京大虐殺」である。慰安婦に関しては最近「セックス・スレイブ」というキーワードが多用されている。「スレイブ」と言えば、アメリカの歴史の恥部ともいえる「奴隷制」を想起させて、インパクトが大きいのだ。
これは、「民族浄化(エスニック・クレンジング)」の「浄化」という言葉が、西部開拓時代のネイティブアメリカンを駆逐した「北米大陸浄化」を想起させてインパクトが大きかったことに習っているのではないかと思うほど。

こういったプロパガンダのもっとも古い偽書が「シオン賢者の議定書」で、これは反ユダヤのロシア人がユダヤ人のイメージダウンのために書いたといわれている。

色々考えさせられる本である。

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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

1988 獣の歌/他1編

神様の立候補/ヒーローで行こう!

盂蘭盆会●●●参り(うらぼんえふせじまいり)他2編

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏
by hajime_kuri | 2015-05-20 07:36 | 広告・SP