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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

「外見」ではなく「印象」で描け~読者の想像力に委ねる~

 映画を観たときに、原作と主役のイメージが違うと感じたことはないだろうか。
 これは、原作の小説が、主役の外見や外貌などの描写をせずに、読者の想像力に委ねているからである。
 そこで原作を読んだ読者の数だけ主役の人間のイメージがあり、映像化に際しては、その最大公約数でイメージが作られている。
 ティーンエージャー向けの作品には、外見の設定などを細かく決め描写しているものも少なくないが、絵師やアニメ化を念頭に置かなければ「顔立ち」や「スタイル」の細々とした描写は不要である。

例)
荒削りに彫り込んだギリシア彫像のような美貌にもかかわらず、くぼんだ眼窩の奥に光る瞳の陰りが、酷薄な印象を与えていた。

・具体的すぎて、「濃い顔は俺のタイプじゃないし」的な読者も出てくるかも。

そこで、次のように直してみる。

例)
 見つめてくる視線には悲哀の色が浮かんでいる。唇に浮かぶかすかな笑みが皮肉な影を与え、本来は美貌であろう顔立ちに酷薄な印象を与えていた。

 つまり、「外見」や「顔立ち」ではなく、彼の与える「印象」にフォーカスして描くのである。

「外見」ではなく「印象」をこそ描け

これは、あくまで私流のキャラ描写術である。参考になっただろうか?

※サイタ「小説指南」BLOGの記事を保存したものです。

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作者・栗林元は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)
不死の宴 第一部 終戦編
人生はボンクラ映画・西森元
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by hajime_kuri | 2019-04-22 06:51 | 小説指南