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「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ



よくできた映画である。
マカロニ・ウエスタン(イタリア製のフェイク・ウエスタン)のフォーマットの上で、愛するゆえのフェイク・パロディを繰り広げて見せ、しかも、フェイクではない「本当の映画」に仕立て上げている。
マカロニ映画でも「セルジオ・レオーネではなく、コルブッチの方ね」と、佐藤浩市が言ったとかで、マカロニファンの俺にとっては、スタッフ・キャストのみなさん「わかってるじゃないか」とうれしくなった。
ネット上でよく見かける非難の数々に少し意見しておこう。
・英語のセリフが外国マーケットに媚びているのでは?
この英語のセリフと字幕は、日本人観客に向けて、この映画が「フェイク・ウエスタン」だという、強烈なサインなのである。だいたい、冒頭のエピソードの背景にぶら下がる巨大な夕日に、しっかりとワイヤーを映していることからして、徹底したフェイク宣言じゃないか。
・主人公が印象薄い
主人公の伊藤は、物語を動かす触媒みたいなものだ。だからこそ、周辺の人物が生きる。すごく生きる。一見、戯画化されたような登場人物たちだが、マカロニウエスタンは、まさに「ああだった」のである。
日本映画も、「あざとさに陥る一歩手前で踏みとどまれる大人」になったなと感じた。

登場人物たちを列挙して映画の構図を見てみよう。
・クールな流れ者
・冷酷なボス
・間抜けなボス
・エキセントリックでずるい保安官
・かわいそうな母子
・主人公を助ける老人
・女ガンマン
・踊り子
・寡黙で正直なネイティブアメリカン
もう典型的なウエスタン。
「わかってるじゃないか」
SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スタンダード・エディション

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作者は小説を書いています。よろしければお読みください。(Kindle版です)

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by hajime_kuri | 2007-09-29 08:24 | 映画