「読書記録」を中心に、読んだ本、見た映画の記録、書評、ブックガイド、その他日常の徒然ね。


by hajime_kuri

マッドメン



代表作「海神記」を買ってきて読んでいる。読み終わったらこのブログで紹介しようと思っていたら、なんと2004年から、この書評ブログをやっていながら、大好きな諸星大二郎の作品に関して全然紹介していなかったことに気づいて愕然とした。
ということで今回は「マッドメン」だ。この作品は1975年に第1作が発表され、1979~81年に「月刊少年チャンピオン」で連作掲載されたという。諸星大二郎の実質的なデビュー作は、少年ジャンプの手塚賞、初連載は同じくジャンプの「暗黒神話」なので、てっきりこの作品もジャンプだと思っていたが、チャンピオンだったのか・・・。
当初のスタートは、ホラーテイストの短編なのだが、これが連作長編となっていくとは思いもよらなかった。
民俗学者の父が連れてきた、パプア・ニューギニアの一部族の少年コドワと義理の妹になる波子の物語である。原始の姿のまま生きるニューギニアの人々と、彼らが否応なく関わらざるを得ない「現代文明」のせめぎあいを、コドワという高貴な美少年を取り巻く神秘のドラマで描いていく。
この作品で初めて、「呪的逃走」「ペイ・バック」等という比較神話学の用語などを知ったものである。実際のニューギニアの民俗を取材したのだろうなあ。諸星大二郎の絵の迫力に圧倒される。
実は私の近所には、民俗学博物館「リトルワールド」があり、ニューギニアの仮面などが豊富に展示してある。初めて、その展示を見たとき、この作品を思い出して、「おっ、オンゴロの仮面やんか」などと思ったものである。
とにかくイマジネーションを刺激される壮大な物語だ。このような作品こそ、いい音楽と俳優を使って、映画化して欲しい。堂々たる作品になると思う。
※「呪的逃走説話」
「死者が追ってくる-妨害にモノを投げる-障壁を越えて逃げる」というモチーフ。おそらくは、死者が生き返ってきて生者に害をなすのではないかという恐怖から生まれたものらしい。日本神話の「伊邪那岐(いざなぎ)の冥府くだり」とギリシャ神話の「オルフェウスの冥府下り」などの類似性が有名。

マッドメン (1) (創美社コミック文庫 (M-1-1))
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by hajime_kuri | 2009-04-17 10:38 | コミックス